子供の認知を請求する方法
認知届を提出する「任意認知」
父親が役所に認知届を提出することで、非嫡出子(未婚の男女の間に生まれた子)を認知することを「任意認知」といいます。
胎児を認知することもできますが、その場合には、母親の同意が必要になります。
子供が生まれた後の認知は、父親の意思のみで可能で、母親の同意は不要となります。
認知をした父親は、子供の身分関係を安定させるという観点から、その認知を取り消すことはできません。
認知届の提出は、子供が成人した後でも可能ですが、その場合には子供の同意が必要になります。
その理由としては、法律上の親子関係が生じると、成人した子供は親の扶養義務を負うためです。
親が困窮していると、子供は経済的支援をしなければならないので、父親がそのような意図で認知することを防ぎます。
裁判による「強制認知」
母親や子供が認知を希望していても、父親が任意認知をしてくれない場合があります。それは、自分が父親であると認めていなかったり、父親だとわかっているが養育費を払いたくなかったり、認知すると戸籍に記載されるので不倫したことがバレてしまう、などさまざまな理由があります。
父親が認知しなければ、養育費を請求できず、父親の相続権も認められません。
父親が認知してくれない場合、母親や子供の側から、調停や裁判で認知を請求し、法律上の父子関係を生じさせることができます。これが「強制認知」です。
裁判上の手続きでは、子供の生物学上の父であるという客観的事実があることが重要になります。
調停の申立または訴えの提起は、父親が生存中か死亡後3年以内にする必要があります。
父親や子供の「死後認知」
父親の死後でも、死亡後3年以内であれば、裁判で認知を請求することができる「死後認知」という方法があります。
また、父親は、子供が死亡しても、その孫やひ孫がいる場合には、死亡した子供を任意認知することができます。ただし、孫やひ孫が成年者であるときは、承諾が必要になります。
父親は認知届を提出しなくても、遺言によって認知することもできます。
遺言者が死亡した後、遺言執行者が役所に届け出ます。届出が行われると、死後に戸籍に認知した旨が記載されます。